사랑비(サランピ)3話です。
イナを想いながらドンウクの告白を受けたユニ。
他に好きな人がいるのに、違う人と付き合う…それが正しいと思う人はきっと誰もいないけれど、
正しいか間違っているか、それだけで語れないのが人の心。
それが今後の彼らをどんな方向へ導くのでしょうか。
では、どうぞ。
+-+-+-+
La La La
愛の雨が降る
La La La
「ホント素敵!」「さすがイナだ」仲間たちから一斉に拍手が起こる。
インスク「ところでさ、さっき歌詞にあったでしょ。”僕の傘に入ってください”?わぁ~あれホントにロマンティック!」
ドンウク「おい、一体誰のこと想って書いたんだ?」
イナ「・・・。」
チャンモ「歌の中の”彼女”って誰なんだ?」
インスク「誰なんですか?」
ドンウク「お前、例の3秒じゃないのか?」
女子「3秒?」
ドンウク「話があるって、ひょっとして歌に出て来る彼女のことじゃないのか?」
ユニ「!」
イナはゆっくり口を開いた。
イナ「話すよ」
一同はわくわくしてイナを見つめる。
イナ「えっと、俺…軍隊に行くことになった」
ドンウク「え?」
インスク「軍隊?」
ヘジョン「軍隊?!」
チャンモ「イナ!」
イナ「ラジオの公開放送を最後に休学しようと思って。どうせ行かなきゃならないし、志願したんだ」
話し終わったイナは、友人に向けた視線をそっと動かす。
そこには、ユニがいた。
ユニは何も言えず、力なく目を伏せる。
+-+-+-+
ユニが付近を歩いていると、宿の中から苛立った声が聞こえてきた。
ヘジョン「一体どうしてよ!何でそんなこと決心したのよ!」
チャンモ「ヘジョン、イナの話も聞いてみようって」
ヘジョン「イヤ!こんなのあんまりよ!そんなこと決めたってことは、私たちイナ兄に何の意味もないってことだわ。イナ兄、何とか言ってよ!」
チャンモ「あー全く」
ユニは静かに踵を返した。
+-+-+-+
日が沈みかけていた。
水辺へやって来たイナは、橋の上をぼんやり歩くユニの姿を見つける。
青春の記憶が水彩画のように淡いのは、
鮮やかな色に変わる前に終わってしまうからかもしれない
イナはゆっくりと彼女の元へ近付いた。
イナ「・・・。」
ユニ「本当に…行くんですか?」
イナ「えぇ」
ユニ「もしかして私のせいですか?私と…ドンウクさんのせいで」
イナ「違うんです。ユニさんのせいでもないし、ドンウクのせいでもない。僕…自身のせいなんです」
ユニ「・・・。」
イナ「あまりに複雑で…」
ユニ「・・・。」
イナ「僕の言うこと、黙って聞いててくれますか?」
ユニ「?」
イナ「全部嘘だったんです」
ユニ「?」
イナ「僕の絵。ユニさんが僕の風景の中にいたんじゃない。あの日、ユニさんが僕の風景だったんです」
ユニ「!」
穏やかなイナの声はただ独り言を言っているようでもあり…。
イナは静かな水の流れに委ねるかのように言葉をつなげた。
イナ「初めて会った日から、僕の風景はあなた自身でした」
ユニ「・・・。」
イナ「その風景があまりに美しくて、僕はいつだって心ときめいていたんです」
ユニは何も言わず、代わりに瞳に涙をにじませた。
そんなユニにイナはそっと向き直る。
イナ「ありがとう。そして、ごめん。卑怯で…」
ユニ「・・・。」
イナ「・・・。」
ユニ「今になってそんな…。もっと早く言ってほしかった…」
イナ「すみません。こんなに遅くなって…ごめん」
ユニ「・・・。」
好きだったという言葉も
とても辛いという言葉も
まともに伝えられないまま
空いっぱいに広がった水彩画のような黄昏が消えていこうとしていた
+-+-+-+
合宿から日常に戻った彼ら。
イナがセラヴィにやってくると、チャンモが無言で彼を迎えた。
DJブースの中で静かに話し始めるドンウク。
ドンウク「もうこんな時間になりました。今日の最後の曲は軍隊へ行く方たちに贈る曲です」
#DJブースに飾ってあるいわさきちひろさんの絵に興奮。芸が細かいわー(感激
+-+-+-+
客のいなくなったセラヴィには彼ら3人が残っていた。
ギターを手にしたドンウクとチャンモ。
彼らの側でイナは何も持たずに座っていた。
ドンウク「何だって?」
チャンモ「明日?」
イナ「あぁ、ごめん。軍隊に行くって両親に話したら帰って来いって。明日、春川にスケッチ旅行に行って、その足で帰るよ」
ドンウク「・・・。」
チャンモ「おい!じゃ公開放送は?」
イナ「練習はだいたい出来てるから、公開放送の日にちょっと合わせれば…」
ドンウクが思わず立ち上がった。
ドンウク「一体何が原因なんだ?!」
チャンモ「ドンウク…」
ドンウク「本当に言わないつもりか?」
イナ「・・・。」
黙って目を逸らしたイナに、ドンウクはそのまま店を出ていった。
チャンモが彼の背中にため息をつく。
チャンモ「あー全く」
イナ「大丈夫だ。ドンウクは…大丈夫だよ。きっと」
+-+-+-+
下宿に戻ったイナはさっそく荷物の整理を始めていた。
大切なLPレコードをダンボールに詰め、ほとんど空になった机の引き出しを開けてみる。
そこには、黄色い手帳が顔を覗かせていた。
#こういうインクの箱も!そこらじゅうに散りばめられた懐古アイテム楽しす♥
ユニ(声)「愛のある風景はいつだって美しい。だけど、美しい愛だからって、必ず幸せだとは限らない。愛はいつも幸せと悲しみ、2つの顔を持っているから」
+-+-+-+
ユニは図書館のいつもの席にいた。
あたりを見回してみるが、逢いたい人の姿はない。
外へ出てくると、彼女の前にドンウクが現れる。
ドンウク「何でこんなに遅いんだ?」
ユニ「いつから待ってたんですか?」
ドンウク「ずーっと前からね」
ユニ「どうして?」
ドンウク「どうしてって?俺たち付き合うことにしたんじゃなかった?彼氏なんだから待ってて当然だろ。違う?」
ユニ「練習してるだろうと思ってたんです」
歩き出したユニにドンウクが続く。
ドンウク「イナのせいでさ。イナが明日…」
そう漏らしたドンウクの言葉をユニの声が遮った。
ユニ「ご飯…食べました?」
まっすぐ微笑んでみせるユニに、ドンウクは彼女の前に出て向き直る。
ドンウク「デートしよう」
ユニ「え?」
ドンウク「俺たち、正式にデートしたことないだろ。明日、デートするんだ」
ユニ「・・・。」
ドンウク「どう?」
黙って目を伏せるユニ。
ドンウク「実は…明日ちょっと憂鬱なことがあってさ。君が幸せな日に変えてくれよ。な?」
ユニは静かに微笑み、頷いた。
思わず明るく笑い、ドンウクは飛び上がって歓声を上げる。
ドンウク「行こうぜ!」
+-+-+-+
翌日、街を歩いていたイナはふとある店のウィンドウディスプレイに足を止めた。
そこに飾ってあったのは、金色に輝く時計。
彼の中にユニの言葉が蘇る。
ユニ(回想)「お母さんの時計、ずっと大切にしまってあったのに、少し前に失くしてしまったんです」
+-+-+-+
アトリエにやって来たイナは、自分の持ち物をロッカーに片付けていた。
かばんからユニの日記帳を取り出した彼は、ためらってからそれもロッカーに入れ、扉を閉める。
学生「全部整理するんじゃないのか?」
イナ「入隊前に来て全部整理するよ。もうちょっとだけ置かせてくれ」
+-+-+-+
学科の事務室にやって来たユニは、事務員に呼び止められる。
事務員「ちょうどいいわ。預かり物があったのよ」
そう言って差し出したのは、綺麗に包まれたプレゼントの箱。
ユニがそっと箱を開けてみると、時計が姿を現した。
ユニ「?」
そこにはもうひとつ、封筒に入ったカードが。
どこにいても 僕は毎日毎日 あなたの幸せを願います - ソ・イナ -
ユニ「!」
+-+-+-+
大学の廊下を歩きながら、ユニはプレゼントの箱を見つめ、じっと考え込んでいた。
そこへ話し声が聞こえてくる。
インスク「一体イナ兄はどういうつもりだって?何かあったってわけじゃないのに」
ヘジョン「・・・。」
ユニは「イナ」の名前が気になり、近づいて声を掛けた。
ユニ「何かあったの?」
インスク「あぁユニ、イナ兄が実家に帰るんだって」
ユニ「?」
インスク「今日、スケッチ旅行に行ったらそのまま故郷に戻るって。入隊する日まで学校にも来ないって」
ユニ「・・・。」
ヘジョン「絶対何かあるわ」
インスク「そうだよね」
ユニ「・・・。」
インスク「じゃあ、公開放送は?どうなっちゃうの?ダメになったら困るわ。チャンモさん、賞をとってデビューするつもりなのに。そうしないと、うちの両親だって交際を認めてくれないし、交際しないと結婚もできないし、結婚しないと…あ、結婚は早すぎるかな。とりあえず婚約しなきゃ」
ヘジョン「インスク!あんたこの状況でそんなこと!!!」
ユニ「・・・。」
+-+-+-+
授業が始まろうとしていた。
講義室で席についたユニは、もう一度彼が残して行った時計の箱を開けてみる。
そっと指で時計をなぞってみるユニ。
ユニ「・・・。」
ユニは急いで荷物をまとめ、足早に部屋を出た。
+-+-+-+
彼女がやって来たのは、美大の掲示板前。
そこには野外スケッチの日程が掲示されていた。
「※野外スケッチ日程※
豊かな収穫の季節、秋。
作品の構想と意欲を奮い立たせるため、
スケッチ旅行に行きましょう。
美大生の皆さんの積極的な参加をお願いします。
対象:西洋画科3年
日時:10月16日
場所:別示(時間厳守)
準備するもの:各者、画材道具および軽食」
そのとなりには、各者に振り分けられた行き先が表示してあった。
イナの名前があるのは…「春川」
彼女は迷わず走りだした。
+-+-+-+
春川のターミナルを出たイナは、目の前の建物を見上げていた。
そこにあったのは映画「ラブストーリー」の大きな看板。
いつか上映しているところを見つけたら一緒に観に行こう…。
…そう願った映画館に、今日、こんなところで出会ってしまったイナ。
彼の視線がふっと柔らかくなり…そして、寂しく翳る。
+-+-+-+
講義を終え、立ち上がろうとしたヘジョンは、ふとユニが帰った後、机の下に何かが落ちているのに気づく。
黄色い小さな封筒からカードが顔を覗かせていた。
拾い上げ、中を見た彼女は、出ていく前のユニの様子を思い出す。
プレゼントの箱を、黙ってじっと見つめていたユニを…。
+-+-+-+
硬い表情で急ぐヘジョンの後を、インスクが追いかけた。
インスク「イナ兄が何でこんなカードをユニに?」
ヘジョン「・・・。」
そこへ…
チャンモ「おーい!」
向こうからやって来たチャンモが手を上げる。
チャンモ「イナのせいで機嫌悪そうだったけど…」
陽気に話しかけたチャンモは、ヘジョンの厳しい視線に思わず口をつぐむ。
チャンモ「機嫌…悪そうだな。インスクさん、どうしたんだ?」
ヘジョン「嘘つき」
チャンモ「?」
へジョン「全部知ってたくせに!!!」
チャンモ「え?」
たまらずへジョンは彼の前から立ち去った。
しばらく訳の分からない表情で立ち尽くしていたチャンモは、ハッとして駆け出した。
+-+-+-+
へジョンがまっすぐ向かったのはイナのアトリエのロッカーだった。
慌てて追いかけ、ロッカーの前に立ちふさがるチャンモ。
ヘジョン「どいて」
チャンモ「ヘジョン!」
ヘジョン「どいてよ!」
チャンモ「見ちゃダメだ。見てどうすんだよ」
ヘジョン「見なきゃいけないのよ」
無理やりドンウクを退け、ヘジョンはすぐさまロッカーの扉を開いた。
彼女の目に飛び込んできたのは…他の誰でもない、ユニの絵だった。
ヘジョン「!!!」
1枚、また1枚。
絵をめくってみると、またその奥から現れるユニの姿。
ヘジョン「・・・。」
愕然とした彼女は、ふと横に置いてあった黄色い手帳に気づき、手に取った。
+-+-+-+
春川にやって来たユニは、色とりどりの秋の風景の中にイナの姿を探していた。
スケッチをする学生の一人に声を掛ける。
ユニ「あの…。ソ・イナ先輩はどちらにいらっしゃいますか?」
学生「あぁ、イナですか?さぁ、さっき帰ったみたいだけど」
ユニ「え?いつですか?」
学生「2時間くらいにはなるかな」
ユニ「・・・。」
+-+-+-+
ドンウクはかすみ草の花束を手に、セラヴィの階段を勢い良く駆け上がった。
店内を見回すと、神妙に座っているヘジョン、インスク、そしてチャンモの姿。
ドンウク「どうした?ユニは?」
チャンモ&ヘジョン「・・・。」
インスク「私たちも待ってるの」
ドンウク「どういうことだ?俺たちの初デートを邪魔するつもりかよ」
ヘジョン「・・・。」
張り詰めた空気に、チャンモは大きなため息をつくしかなかった。
ドンウク「何だよ?何でこんな雰囲気なんだ?喧嘩でもしたのか?」
+-+-+-+
すっかり陽が落ちた春川。
ユニは重い足取りでバスのターミナルに辿りついた。
ふっとため息をつき、ターミナル前の建物を見上げる。
ユニ「!」
吸い寄せられるように映画館に近付いたユニは、切符売り場に貼ってある上映時間を眺めた。
午前10時(平日)・午後1時・午後3時(土日)・午後6時・午後9時…。
#この時間案内、さっぱり分からん
時計を確認し、もう一度ため息をついた彼女は、それでも諦めきれず、映画のポスターを見つめた。
「愛はすまないと言葉にしない…」
小さく微笑むユニ。
そこに、突然の雨音が響き始める。
+-+-+-+
ユニは映画館の入り口で雨を見上げ、ためらっていた。
思い切って歩き出そうとしたその時、背後で扉が開く。
上映が終わり、出てきた観客たちが雨に気づき、口々にうらめしそうな声を上げた。
その中には…
同じように、彼らに混じって雨を見上げるイナの姿があった。
一人、また一人と前の中を駆け出す観客たちの中、イナとユナはお互いに気づかずにいた。
雨を見上げながら、何かを思い出したのか、ふっと表情を和らげるイナ。
そして、雨を眺めていた二人の視線は、とうとうお互いを捉えた。
イナ「!」
ユニ「!」
イナ「どうして…こんなところまで?」
ユニ「…見たくて(会いたくて)」
イナ「!」
ユニ「今日を逃したら、もう見られないかと(会えないかと)思って…」
イナ「・・・。」
※韓国語では「見る」と「会う」、同じ単語で2つの意味があります。
※どちらの意味も兼ねていると思うので、両方書いておきますね。
+-+-+-+
イナとユニは映画館で肩を並べていた。
あれほど望んで、やっと観られた念願の「ラブストーリー」。
ユニは瞬きをするのも惜しんでいるかのようにスクリーンを見つめ、幸せそうに微笑んだ。
ジェニー、ごめん
やめて
愛はごめんだなんて言わないのよ
聞きたかったセリフ。
イナとユニはそっと無言で視線を交わす。
もう一度そっと振り返ってみたユニの瞳には、涙が滲んでいた。
膝の上に行儀よく揃えられたユニの手。
その手にゆっくり自分の手を伸ばし、やはり触れることが出来ずにイナはその手を引っ込め、握りしめた。
+-+-+-+
イナとユニは走って春川駅に向かっていた。
高いヒールに足を捻り、立ち止まってしまったユニの手を、今度は迷わず取るイナ。
何とか駅に辿りついたイナは慌てて駅員に声を掛ける。
イナ「ソウル行きの汽車は出たんですか?」
駅「えぇ」
手をつないだままため息をつく二人。
ユニ「・・・。」
イナ「乗り遅れましたね」
そっと引き抜こうとしたユニの手首を、ぎゅっと掴んだイナは、そのまま固く握り直した。
ユニ「・・・。」
イナ「ど…どうしましょう」
ユニは何も答えず、黙って彼に微笑みかけた。
#イナよ。カッコよく手を握っておいて「ど、どうしましょう」って何だよ。そういう君のダサいところが大好きだ。
+-+-+-+
二人は長い間、黙って駅のベンチに座っていた。
寄り添い、手を握り合ったまま。
イナ「…これからどうしましょう」
ユニ「…これからどうしましょうか」
同時に口に出し、ふと笑い合う二人。
そこへ、見知らぬ女性がやって来て声を掛けた。
女性「泊まっていかなきゃ~」
二人「?」
女性「どうしましょうって、何をどーすんのさ!もうすぐ外出禁止の時間なのに、泊まって行きなさいよ~♪ね?部屋空いてるよ」
ユニ「・・・。」
イナ「いえ、大丈夫ですから」
女性「また~」
そう言って、固くつながれた二人の手を覗き込む女性。
イナは慌ててその手を離し、立ち上がった。
イナ「僕たちそんなんじゃなくて…。そんなんじゃ…ないですから。すみません」
「時間を見てきますから」ユニに告げ、イナは逃げ出すように女性の前から離れる。
女性は愉快そうにユニの横に座った。
女性「あのさ、お嬢ちゃんから言ってみなさいよ。ここは寒くて我慢出来ないって。安くしとくからさ~。ね?」
ユニ「…大丈夫ですから」
女性「もう!あの青年だって泊まっていきたいはずなのにさ」
ユニ「・・・。」
そこへ戻ってきたイナ。
彼は夜行列車に乗るからと、食い下がる女性を断った。
ユニ「夜行列車?」
イナ「えぇ。調べてみたら東海に行く臨時夜行があるそうなんです」
ユニ「・・・。」
イナ「海…見に行きませんか?」
ユニはまっすぐイナを見つめ、頷いた。
そのとき、男性たちがバタバタと駅に駆け込んでくる。
「もう汽車出ちゃったな」と口々に言い合う彼ら。
その中に、昼間、イナを探していたユニが声を掛けた美大生がいた。
彼は、改札の向こうに仲良く並んで立っている見慣れた顔を見つける。
学生「あれ、ソ・イナじゃないか?やっぱりそうだ」
他の学生「そうだな。横の女の子は誰だ?」
学生「さっきの子だ」
+-+-+-+
ドンウクは大切なかすみ草を持ったまま、ユニの家の前で立ち尽くしていた。
「ユニさん、急に用事ができたみたいでさ、授業も受けずに出て行ったって」
苦しいチャンモの説明を頭の中で反芻する。
ドンウクは待てど暮らせど彼女の現れない通りの向こうを見つめ、時計を見た。
11時半。
ドンウク「何かあったのかな…」
彼は思い足取りで歩き出す。
+-+-+-+
街中。
チャンモは神妙な顔で腕を組むヘジョンを背に、公衆電話のダイヤルを回していた。
#「ジーコ ジーコ」ダイヤルの音が最高♪
チャンモ「こんばんは、お父さん。チャンモです。お変わりありませんか?えぇ、元気にやってます。ところでイナは無事…?! えぇえぇ!部屋でよく寝てますよ、えぇ!」
後ろで思わずヘジョンが声を掛ける。
ヘジョン「イナ兄、帰ってないって?」
チャンモ「(黙ってろ、と手で合図し)ただ電話してみただけなんですよ~。家主さんがウルサイんですよ。電話代が掛かるって。えぇえぇ、また遊びに行きます。えぇ!」
ガチャン。受話器を置く音がやけに大きく響いた。
チャンモ「・・・。」
ヘジョン「イナ兄、実家に帰ってないって?」
チャンモ「(無理に元気に)あぁ!まだ帰ってないな!いやぁ~、よっぽどスケッチが好きらしい」
ヘジョン「・・・。」
チャンモ「スケッチ旅行に出て何日か戻らなかったことだってあったろ?」
ヘジョン「・・・。」
チャンモ「そうだ!部屋に帰ってるかもな。急いで帰ってみるよ。明日話してやるから。な!」
逃げるように歩き出したチャンモの後をそれでもまたついて来るヘジョン。
チャンモ「どこ行くんだよ?」
ヘジョン「行くわよ」
チャンモ「どこに?」
ヘジョン「下宿」
ヘジョンは迷わず、呆然としているチャンモの前を歩き出した。
ヘジョン「私も行くわ。行って確かめる」
チャンモ「おい!行くってどこに?!おい!!!」
+-+-+-+
「家主さんが起きるって。静かに入れよ」
慌てるチャンモの小声の前で、勢い良く下宿の扉が開く。
チャンモ「イナ~、寝てるのか~。電気つけるぞ~」
明るくなった部屋。
彼らの前にはガランとした空間があるだけだった。
チャンモ「…いないや。スケッチ旅行に行った先で泊まってるみたいだ」
ヘジョン「二人で一緒にいるかもしれないわ」
チャンモ「何てこと言うんだ!ユニさんがそんなとこまで行くもんか!」
ヘジョン「私の第六感がハッキリそう言ってる」
チャンモ「六感って何だよ…。あ!外出禁止の時間になっちゃったのにどーすんだ!あー全く!イナもいないのにさ、俺とお前と…(ニヤニヤ)二人っきりで(我に返り)二人で朝までどーすんだよ!あーホントに!どういうつもりで…!!!」
ヘジョンを振り返ったチャンモはハッとして言葉を呑み込んだ。
黙ったまま、イナのいない部屋の床をじっと見つめている彼女の瞳から、ポロポロと大粒の涙が流れていたのだ。
ヘジョン「きっと一緒にいるんだわ…」
そうつぶやき、彼女は床に崩れ落ちた。
+-+-+-+
ドンウクは後ろ髪を引かれるように何度もユニの家の方を振り返りながら歩き出した。
突然鳴り始める外出禁止のサイレンの音に、慌てて走り始める。
イナとユニは二人、夜行列車に揺れられていた。
皆を傷つけると分かっていた。
けど、それでも止まれないほど…幸せだった。
+-+-+-+
ここでいったん区切ります。
イナの大事なモノローグが一部分からん。
また後で唸ります^^;
素敵です
返信削除ありがとうございます(=^0^=)
後半も楽しみにしています
ありがとうございます。
返信削除素敵な訳で とても助かっています。
お時間のある時に 3話の続きお願いします。
楽しみです。
yujinaさん、おはようございます(^-^)
返信削除さっそくの翻訳、感謝します。
映像だけでは「軍隊に行く」と言うキーワードが全然分からなかったです。
緑の文字、思わず吹き出しました(笑)
ダサいイナにキュンキュンします♪
「見る」と「会う」も勉強になりました。「会う」しか知らなかったので(^^;
また後半も楽しみにしています。
情景が思い浮かぶ素敵な訳をありがとうございます。
返信削除すぐにUPしてくださったんですね。
ちひろさんのポストカード!やっぱり!!と、嬉しかったです。
ありがとうございます。
返信削除小説を読んでいるようです。素晴らしいです。
昨夜の放送なのに早いのもすごい。
いわさきちひろさん、インクの箱など懐かしい。
これからもよろしくお願いします。
青春の記憶が水彩画のように淡いのは、
返信削除はっきりした色に変わる前に終わってしまう
からかもしれない。
素敵な訳に涙なしでは読めませんでした。
美しい情景に美しい言葉が合間って
朝から幸せな気持ちになりました。
ありがとうございます!
字幕の無い映像を見ながら所々(ほんとーに所々)聞き取れる言葉で
返信削除想像していたストーリーが翻訳してくれた言葉とつながり
欠けていたピースを埋めるように読み進める”ラブレイン”
ドラマの70年代のゆっくりした時間と重なります。
段々自分の予想とどれくらい合っているかも楽しみになっています。
放送が終わるまでの期間大変な作業と思いますが
身体を壊さない程度に頑張ってくださいね。
さっそく翻訳ありがとうございます。
返信削除イナの素敵な言葉の中で、特にこれ↓に胸がキュンとします(*^。^*)
>初めて会った日から、僕の風景はあなた自身でした
>どこにいても 僕は毎日毎日 あなたの幸せを願います
有難うございます
返信削除翻訳を見て 理解できました いいですよね
ある愛の詩 70年代の 映画だったダ と思い出しました
ほんと感謝です 映像だけを見るだけでした
今日も楽しみです
おはようございます。
返信削除昨日はKBSで字幕なしで見ていました。
本当に単語くらいしか解らないので想像しながら見ました。
そして今朝こちらのページでものすごくよく理解することができました。
本当にいつも有難うございます。
お疲れでませんでしたか?
またよろしくお願いいたします。
いつもありがとうございます。
返信削除夜はセリフの意味も分からず見てるわけなんですけど
意味が分からないハズなのに美しさを感じて・・・
朝、yujinaさんの翻訳を読むと
やっぱりセリフが美しくて。。。
とてもステキなドラマです。
それを感じさせてくれてyujinaさんにも感謝です。
毎回本当にありがとうございます。
返信削除台詞の一言一言が切なくていじらしくて。。
リピしながら見返す事が出来て嬉しいです。
これからも宜しくお願いします。
おはようございます。
返信削除「メリ」「49日」で大変お世話になりました。
1話2話は・・・かろうじて理解をしたのですが・・・^^;
今回・・始まりの会話から???
途方にくれた状態で、半ば諦めかけたところ・・・
もしかしたらyujina様が・・・・淡い期待と共に訪れました。
もぉ~~~感激です♪
相変わらずの翻訳の素晴らしさ
台詞以外の描写が・・・・ドラマを数倍レベルUPしています。
お仕事を始められて・・お忙しいことでしょうが・・・ご自愛ください。
本当にありがとうございます。
いつも素敵な訳をありがとうございます。
返信削除こちらへお邪魔するのが楽しみで待ちきれないほどです。
言葉がわからないまま見ても涙が溢れましたが、
こうして内容がわかってまた涙。。。
お忙しい中大変でしょうが、これからも宜しくお願い致します。
朝から、3話の翻訳を読ませて頂いて、話の展開が、あまりに切なくて、ハァ~っと、ため息が、
返信削除今後の展開がとても、息苦しい・・・happy enndでないと思ってるだけに
翻訳のお話に、のめりこんでしまいました。
(でも、時折入る、yujinaさんのコメントを読んで、クスクスッと笑いながら・・・^^)
今日は、4話ですね。また、更なる展開が待ってるようで
楽しみにしています^^ いつもありがとうございます。
翻訳ありがとうございます。
返信削除愛の雨を見てるとドキドキします。
ユナちゃんの表情がとても綺麗で
心臓を高鳴らせながら見る事ができます。
続き待ってます^^
いつもありがとうございます♪
返信削除学んだことを、こうやって皆へ還元して、生かしているなんて、ステキですね!
これからも宜しくお願いします☆
楽しみにしています♪
ステキな翻訳ありがとうございます♪♪読ませていただくとた映像が目の前にひろがってきます。やっときもちが通じあったのに何故か切なく苦しい気持ちになりますね。後半も楽しみにしています♪♪ yujina さんのコメントも楽しみです(^-^)/
返信削除三話まで、字幕なしで見ていました。
返信削除はっきりしないイナの行動に、つまらなさを感じていました。
しかし、三話では「軍隊に行く」と聞きとれなかったものの、とても胸に残る映像でした。
yujinさんの訳を読んで、切なく、涙が溢れました。
明け方まで、翻訳して頂き、ありがとうございました(*^^*)
翻訳ありがとうございます
返信削除私も『どうしましょうか』観ながら笑っちゃいましたが好きです yujinaさんのコメントも好きです
またこれから三話を見ます
リアル視聴→yujinaさんの翻訳→YouTube
毎週の日課になりそうですウフフ
yujinaさん翻訳ありがとうございます
返信削除想像で見た画像を思い出しながら、翻訳を読ませていただき*また動画を\(^0^)/
後半も楽しみにしてます*yujinaさんのコメントも楽しみです。
いつも読ませていただいてます!すてきな翻訳ありがとうございます。
返信削除自分がどれぐらい聞き取れているか、確認するのにすごく勉強になります!
今回、ソウル行最終便を逃して駅でどうしましょうって言っている二人に
客寄せに来たおばさんが言った「通行禁止」が分からなかったんですが
夜間外出禁止令のことだったんですね。
そういえば、70年代は軍事政権でしたね。
DJブースのいわさきちひろの絵、yujinaさんのコメントで気付いたので
再度確認。思わずクスッとしちゃいましたよ。
後半も楽しみにしています。
ありがとうございます。見ていても言っている事がわからず・・・
返信削除読ませていただいて・・・本当に 助かります。
こんなことを話していたんですね。
返信削除わかったら涙が出てしまいました~。
言葉が場面にとても合っていて気持ちが入っていきます。
いつもありがとうございます。
いつも、素敵な翻訳ありがとう ございます。こんなに早くから「サランピ」の内容が分かるなんて 本当に感謝しています。やはり、内容が分かると 楽しさや悲しさが 倍増しますね!♪ 続きが、とても楽しみです。 私も、軍隊に行く所が分かりませんでした。 分かって スッキリ…。♪
返信削除yujinaさん、早い字幕をどうもありがとうございます!
返信削除だんだんとイナとユニの取り巻きが複雑化してきそうで面白くなってきました。
ゆっくりでいいので、、後半も楽しみに待ってます。
翻訳ありがとうございます。毎回感動してます。
返信削除とても素敵な翻訳ありがとうございます。
返信削除リアル視聴ではほんの少しの単語と雰囲気で味わっていますが
訳を読ませていただきながら映像を思い返しています。
イナの歌うアコースティックな『サランピ』をBGMに
訳を読んでいたら本当に胸がキュンキュン来てしまいます。
4話もまた切ない展開のようですね。
5話からのジュンとハナも楽しみです!
翻訳ありがとううございます。
返信削除今回の第3話は見れず(ノω・、) ウゥ・・・
でも訳のおかげで雰囲気などわかって 助かります。
ありがとうございます!
翻訳ありがとうございます。
返信削除いわさきちひろの絵、私も小さい頃に本を読んだ記憶が…。
すごぉ~く、おぼろげにあります。
母に聞いても分からないみたいで…。
私が覚えているのは、『あかいとり』と書いてたような…。
イナが、まさか軍隊に行くと言ってたなんて(>_<)
その行動が、よく分かりません。
幸せになろうとしてるのに、なぜ離れようとするのか。
友人を思ってでしょうか。
『ある愛の詩』これは、日本での和訳のタイトルなんですね。
元々は、『LOVE STORY』。
1970年、私は小学6年生でした。
映画の内容は全部は知らないけど、悲しい結末だという事だけ。
でも映画の中の2人は、『愛とは決して後悔しないこと』って言ったんですよね。
イナとユニが2人で見ることが、できて良かったです。
今夜で、イナともお別れですね。
ジュンと、ハナが、どうなるか、すごく楽しみです^^
北海道のきれいな景色も…^^
yujinaさん、夜遅くまでご苦労さまです。
身体に気をつけてください。
これからも、翻訳を楽しみにしています^^
よろしくお願いします。
素敵な訳をありがとうございます。
返信削除全くわからない中リアル視聴をして、そのあとこちらで
訳をよませていただく。なんていう幸せな時間を過ごしているのでしょう…
私も英訳のバイトをしたことがありますが、大変ですよね。
忙しい中本当にありがとうございます。
くれぐれもご無理なさりませんよう、yujinaさんのペースでお願い致します。
ラヴレインとyujinaさんに、オチました。
返信削除素敵な訳をありがとうございます。
字幕なしで見たので こちらに来て 理解できました。
返信削除(軍隊に行くだなんて 想像してませんでした!)
いつも ありがとうございます。
映像も素晴らしかったけど こちらの活字を読んで 涙が出そうになりました。
『ある愛の歌』当時は「愛とは決して後悔しない事」と訳されていましたね。
小さかったけど それだけは覚えています。
「愛とは ごめんとは 言わない」と言うせりふなんですね。
勉強になります。
これからもyujinaさんの訳を 楽しみにしています。
今回もありがとうございます!
返信削除いわさきちひろさんの絵、私も「!」と思い二度見してしまいました。
でも実際のところ、当時の韓国で日本人画家の絵ってアリだったんですかね…。
表だってはNGだったけどってことなのかなぁ…。
素敵な場に水をさすようなことを言ってゴメンナサイ。
でも嫌悪とか政治的なこととかではなくて、
こういう「?」を知ることで隣国の文化を理解してけたらなぁって思うんです。
ではでは、続きも楽しみにしていまぁす!
Yujinaさん♪はじめまして!!
返信削除小説を読んでるかのような…素敵すぎる翻訳をありがとうございます♪
台詞以外も、情景が甦る文章に心惹かれて楽しみにしています。
こんな素敵すぎる翻訳をしてくれる…Yujinaさんに興味が…(*^.^*)
私は…韓国語を習い始めたばかりですが、Yujinaさんみたいに字幕なしで見れるぐらいになれるように頑張ります(^-^)v
これからも頑張って下さいね♪
楽しみにしています♪
ありがとうございます。
返信削除簡単な単語は聞き取れていたのですが、「軍隊に行く」という大事なところはわかりませんでした。
お忙しいとは思いますがこれからもよろしくお願いいたします。
いつも楽しみにしています。本当に素敵な文章に感謝です。
返信削除今日は大丈夫でしたか?3話の後半がまだUPされて居なかったので、この嵐で大変な思いをされていないか心配です。
これからもよろしくお願いしますo(^▽^)o
はじめまして(^^)
返信削除1話から読ませていただいてるのに今ごろはじめましての挨拶すみませんm(__)m
字幕が無いので映像を集中してみているのでしょうね。訳を読んでいるとしっかりその場面が思い出され「こんな楽しみかたもあるんだなぁ~」と本編と楽しみかたに感動しながら毎週読ませていただいております(*^^*)
やはりあの絵はいわさきちひろさんでしたね。1話から気になっておりました(^.^)
「ハングル編」もじっくり楽しみたいと思っております(*^^*)
これからも楽しみにしておりますね。
よろしくお願いいたしますm(__)m
1話から私もみさせていただいてます♪
返信削除挨拶が遅れてすみません★
yujinaさんの訳、ほんとうに感動です(T∩T)
そしてサランピ♡ドキドキです(〃▽〃)
私は4月からNHKハングル講座始めました☆
自分でyujinaさんみたいに訳せるように頑張ります!!
わかるようになるまでは宜しくお願いしますヾ(´∀`)
いつもありがとうございます。
いつもありがとうございます。
返信削除本当に素敵な翻訳に感動しています。
これからも楽しみにしています。
yujinaさん
返信削除初めて拝見させていただきました (#^.^#)
リアル視聴で映像だけを楽しみ何となくストーリーを理解したつもりでいましたが、
何ともこんなに情景が目に浮かぶ小説の様な翻訳をUPして頂き感動しています。
映像だけでもかなり嬉しかったのですが、素敵な翻訳をみてとても感動しました。
素晴らしい
ぐんちゃんとyujinaさんにとても感動しています
これからも宜しくお願いします
今回も、お世話になっています。
返信削除情景が浮かぶ、翻訳…大切にされる言葉たち、とても、素敵です。
ありがとうございます。
まだまだ、長丁場、体に気を付けてくださいね!
楽しみにしています (*^。^*)
はじめまして。
返信削除「ラブレイン」で偶然このサイトを見つけました。
翻訳、本当に本当にありがとうございますm(__)m
いつも先に見た画像を頭の中で思い出しながら
読ませて頂いてます。
韓国語、理解したいです本当に
これからも楽しみにしています!
よろしくお願いします
翻訳ありがとうございます。
返信削除ステキな翻訳を読めるしあわせ・・・嬉しいです。
ありがとうございます。
返信削除解りやすい解説です。映像と繋がりました。
次も宜しくお願いします。