2012/04/11

愛の雨~ラブレイン5話 vol.2

사랑비(サランピ)5話、後半です。

ベッドで乱闘していたはずのジュンとハナ。
二人はいったいどこへ?



続きをどうぞ。






+-+-+-+

赤い車が夜道を走っていた。

ハナ「こんなのってある?携帯を取りに来ただけなのにこんなやり方ないでしょう!」
ジュン「札幌で何してんだ?」
ハナ「大学通ってるんです」
ジュン「何回生?」
ハナ「もうすぐ卒業して韓国に帰りますよ」
ジュン「へぇ。それなら、今すぐ韓国に追放されても大した痛手じゃないな」
ハナ「何ですって?ダメですよ!!!」
ジュン「行かないって言ったら?」
ハナ「え?」
ジュン「警察に行かないって言ったら?何してくれる?」
ハナ「何でもやります!」
ジュン「・・・。」

+-+-+-+

車がふいに停まる。

ハナ「どうして停めたんですか?」

ジュンはそれには答えず、助手席の彼女の顔に近付いた。

ハナ「いや、な、な、何でもやるっていうのはそういう意味じゃなくて」

彼は彼女の携帯の画面を差し出した。

ジュン「これ何だ?」
ハナ「?」

そこには白く輝く樹々が映し出されていた。

ハナ「ダイアモンドスノーのこと?」

+-+-+-+


ふたたび走りだした車は、背の高い樹木が立ち並ぶ森の中を進んでいた。

そこへ『車両進入禁止』の立て札に行く手を塞がれ、彼はブレーキを踏んだ。

ジュン「あ…行き止まりだな」
ハナ「・・・。」
ジュン「ダイアモンドスノーとかいうやつ、ここから近いのか?」
ハナ「もうちょっと奥に入らなきゃダメですね。けど、前見たときは朝だったんだけど」
ジュン「そうか?」

そう言ったジュンは、俄にシートを倒し、毛布に手を伸ばした。
ドキッ

ハナ「何してるんですか?」
ジュン「・・・。」

すでにジュンは静かに目を閉じている。

ハナ「まさか!朝までここで一緒に待つつもりじゃないですよね?」

彼はゆっくりと目を開けた。

ジュン「俺一人で行けってんじゃないよな?」
ハナ「いや、それなら部屋に戻ってまた来るとか」
ジュン「何でいちいち戻るんだよ。ここで待ってりゃいいだろ」
ハナ「けど、どうして?」
ジュン「俺、あれを探しだせなきゃ潰れちまうから」
ハナ「潰れる?」
ジュン「・・・。」
ハナ「何が?」
ジュン「あ゛ー 静かにしろよ!」
ハナ「・・・。」

さっさと目を閉じるジュンに、ハナは仕方なく自分も反対側のドアにもたれ、目を閉じた。

+-+-+-+

空が白み、再び朝が訪れた。
ドアを開け、ジュンは窮屈な車内で硬くなった体を解放する。

ハナ「寒いわ。ドア閉めてくださいよ」

再び助手席で目を閉じたハナを、ジュンがドアの外から覗き込んだ。

ジュン「おい。降りないのかよ」
ハナ「道は教えたでしょ。私、あなたとは絶対一緒に見たくないんだから!」
ジュン「そうか?それなら…仕方ないな」

人質、いや、物質(ものじち?)にとられたままのハナの携帯を取り出し、降り積もった雪に向かって思い切り振りかぶる。

ハナ「ストーーーーップ!」
ジュン「!」

ハナは渋々外に出て乱暴にドアを閉めた。

ハナ「(小声)携帯さえ取り戻したら覚えてなさいよ」
ジュン「何だって?」
ハナ「何でもないですよ。(ジュンを振り返り)ところで、そんな格好で行くつもりですか?ははっ。凍死するわ」
ジュン「(冷笑)ホッキョクグマでも捕まえに行くのか?そんなふうにあるだけ着こむからスタイルが分からないだろ」
ハナ「スタイルより命が…」
ジュン「高い服が何で高いと思う?薄くて軽くてスタイルよく見えるのに、保温力も高いからさ」
ハナ「・・・。」
ジュン「(前を指し)先歩けよ」

ジュンを睨み返し、ハナはスタスタと歩き始めた。



ジュン「おい!いつまで登らなきゃならないんだよ」
ハナ「もうちょっとだけですよ」
ジュン「・・・。」
ハナ「(ニヤリ)ひょっとして…寒い?」
ジュン「(ドキッ)…寒くない」
ハナ「そりゃそうですよね。スタイリッシュな高い服なんだから」
ジュン「・・・。」
ハナ「寒いんでしょ^^」
ジュン「寒くないって言ってんだろ!」

彼女の後を何とかついて再び歩き出そうとしたジュンは、
寒さと雪に足をとられ、つまずいてしまう。

ハナ「ぷぷっ」
ジュン「今笑ったろ」
ハナ「(ううん)」
ジュン「ちくしょー」
ハナ「早くしてくださいよ」

彼はムキになって歩き始めた。

+-+-+-+

「早く来て。もう着きましたよ」

彼女の言葉に、彼は視線を上げた。
あたりを見回すが…望んだ景色は見当たらない。

ジュン「ないじゃないか。ダイヤモンドスノーは一体どこなんだよ?」
ハナ「今はありませんよ」
ジュン「?」
ハナ「もうちょっと陽が昇ったら見えますよ」
ジュン「いつ昇るんだ?」
ハナ「2時間くらい?」
ジュン「・・・。」
ハナ「はっきりはわからないけど。もうちょっと掛かるかな?」
ジュン「おい!」
ハナ「え?」
ジュン「その時間まで一体何してろっつーんだよ?」
ハナ「何するって?このまま待ってればいいでしょ?」

あっけらかんと答え、嬉しそうに景色を見上げるハナに、ジュンは深いため息をついた。
そして、隣にいるハナをじっと見つめる。

ハナ「?な…なんですか?」
ジュン「脱げ」
ハナ「え、え?」
ジュン「脱げよ」
ハナ「また何言ってるんですか」

ジュンは蚊の鳴くような声でつぶやいた。

ジュン「…寒い」
ハナ「・・・。」
ジュン「俺はな、めちゃくちゃ重要な人間なんだ。お前と違って、体壊したら大変なことになる。早く!」
ハナ「イヤです!私は私にとってめちゃくちゃ重要な人間なんですから!」
ジュン「(またハナの携帯を取り出し)これ、ここから投げたら探し出せるかな」
ハナ「わ、分かりましたよ」

ハナは中に着ていたベストを彼に渡した。
不満なジュン。

ジュン「こんなの薄いだろ。上着寄こせよ」
ハナ「スタイル悪くなるんでしょ。私だって寒いんだから」
ジュン「手袋は?」
ハナ「ありません」
ジュン「・・・。」
ハナ「ホントにないんですってば。私、手が温かいから手袋しないんです」

ゴソゴソと着替えるジュンの隣で、ハナはもう一度つぶやいた。

ハナ「携帯さえ取り返したらただじゃおかない」
ジュン「全部聞こえてるから」
ハナ「ふふ~ん♪」

+-+-+-+

二人は並んで待ち続けた。
じっと上を見つめ、今か今かと待っているジュンに、ハナが話し掛ける。

ハナ「アヒルが凍ったら?」
ジュン「ん?」
ハナ「ただ待ってたら余計寒いでしょ。当ててみて」
ジュン「当てたら?」
ハナ「当てたら?えーと」
ジュン「願い事一つ」
ハナ「ん?」
ジュン「何だ。自信ないのか?」
ハナ「違うわ。いいですよ。私、こう見えてもナゾナゾの達人なんですから。えーと、10問中5問!」
ジュン「そんなにいらない。5問ストレートでOK」
ハナ「そんなぁ~。絶対無理だと思うけどなぁ^^」
ジュン「言ってみろよ」
ハナ「いいわ」

※以下、韓国語のナゾナゾなのでただ日本語に訳しただけでは意味が通じません。
注釈を加えますね。

오리가 언 걸 뭐라고 하게요?
アヒルが凍ったら何になる?

언덕.하나. 
丘。1問。※언 =凍った 덕=ダック

ハナ「?!知ってるナゾナゾでした?じゃあ、えーと…」

과일 중에서 제일 뜨거운 과일은?
果物の中で一番熱いのは?

천도복숭아. 둘.
ネクタリン(前出)。2問。

ハナ「…えーと」

먹으면 죽는 걸 알면서도 먹...
食べたら死ぬのはわかってても、食べて…

나이. 셋
年齢。3問。※韓国でも나이를 먹다(年を食う)と言います

ハナ「あぁ…」

구명보트는 몇명이나...
救命ボートには何人…

아홉명. 네.
9人。4問。 ※구명=救命(9名と同音異義語) 아홉명=9名

ハナ「!…えーとそれじゃあ…。そうだ」

토끼가 잘하는 건 ?
うさぎが得意なことは?

토끼기. 다섯!
逃げること。5問。! ※토끼기=도망치기(逃げること)

ジュン「OK!全部正解だな」
ハナ「…どこで見たんです?」
ジュン「願い事聞くって言ったろ?」
ハナ「はっ!携帯にあったの見たんでしょ!」
ジュン「・・・。」
ハナ「そんなないわ!」
ジュン「何がだよ。全部当てちゃダメか?」
ハナ「!」

涼しい表情のまま空を見上げる彼の横顔を、ハナは恨めしそうに睨んだ。

ハナ「何ですか?願い事」



ジュンは黙って手を差し出した。

ハナ「?」
ジュン「・・・。」
ハナ「握れって?どどどどどうして?」
ジュン「何、変な想像ばっかしてんだよ。お前のことなんか絶対女として見てない。俺の別名、何か知ってるか?」
ハナ「?」
ジュン「”たったの3秒で落とす”」
ハナ「(呆)3秒で落とすって?何を?女を?」
ジュン「・・・。俺はな、絶対手が凍っちゃダメなんだ。手が温かいから手袋しないって言ったろ?握れよ」

ハナは素直に手を出せず、前方を睨みつけた。
そして、おずおずと差し出した手を、ジュンがさっと握る。
彼女はその手を自分のポケットに突っ込んだ。


ジュン「あー。ちょっとマシだな」

ポケットを共有したため、二人の距離は俄に縮まった。
肩を寄せ合い、気まずそうに下を向くハナと、相変わらず上を見つめるジュン。

ハナ「何やってる人なんですか?」
ジュン「ん?」
ハナ「手が凍っちゃダメだって、何やってる人だから?」
ジュン「フォトグラファー」
ハナ「え?」
ジュン「・・・。」
ハナ「あぁ~。それでここに来ようって言ったんですか。写真撮るために?」
ジュン「何で俺と見ちゃダメなんだよ」
ハナ「え?」
ジュン「さっき言ったろ。俺とはダイヤモンドスノー見たくないって」
ハナ「まぁ信じるも信じないも自由だけど、ここでダイヤモンドスノーを一緒に見た人と恋に落ちるって言われてるんです」
ジュン「・・・。(笑)何だって?」
ハナ「そんな話があるんですって。だからみんな恋人同士で来るんだって」
ジュン「俺とお前が一緒に見たら?」
ハナ「そんなことにはなりませんから!」
ジュン「トーゼンだろ。そんなわけない」
ハナ「こっちのセリフよ」

二人は急に沈黙に包まれた。

「・・・・・・。」

思わず手をポケットから出し、ハナは彼の手を離す。

ジュン「?」
ハナ「もう温まったでしょ?」

彼はその手を自分のポケットへ移した。

ジュン「俺じゃなくて、誰と見たかったんだ?」
ハナ「え?」
ジュン「フォルダー名 with Love。他の男と見たかったんじゃないのか?」
ハナ「あれ見たんですか?!」
ジュン「も一回見てみるか」

彼が取り出した携帯に、「返して!」とハナが手を伸ばす。
携帯を高く上げ、体をのけぞらせるジュン。
そうしているうちに、バランスを崩した彼は雪の上に転んだ。

ハナ「大丈夫ですか?!」

柔らかい雪の上で派手に転倒した彼は、あっという間に下半身をすっぽり雪に埋め、痛む腕を振る。

ハナ「怪我したんですか?」
ジュン「あーちくしょう!何だよここ?!(ハナを睨み)お前な、俺がもし怪我して二度と写真撮れなくなったら、そのときは責任とれよ」
ハナ「(ブツブツ)私が何したって言うのよ」
ジュン「ほら」

彼は助けを求め、彼女に手を伸ばした。
それに答え、手を差し出した彼女は、「あっ」と手を引っ込める。

ハナ「携帯。携帯渡してください。どっちにしたってダイヤモンドスノー見るために返してくれなかったんでしょ。ほら」
ジュン「渡して逃げる気じゃないのか」
ハナ「(笑)私がそんな人間に見えます?」
ジュン「・・・。」
ハナ「・・・。」

ジュンは渋々、ハナの携帯を差し出した。
携帯を渡し、もう一度手を彼女に伸ばしたジュンをニヤリと見下ろしたハナは、
一目散に走りだす。

ジュン「おい、どこ行くんだ!!!!!」
ハナ「携帯ありがとう~♪」
ジュン「!」
ハナ「それに、引っ張り上げたら、また携帯取り上げる気でしょ?」
ジュン「ちくしょー。おい!こっち来いって!」
ハナ「下りて人を呼んでおきますから。助けてやってくれってね」
ジュン「おい!!!」

そう言い捨て、彼女は本当にトコトコと彼の視界から姿を消した。

夢中で自分の周りの雪をかき分けるジュン。
そうしているうちに、彼は自力で道に這い上がった。
彼女の去った方を急いで追いかける。

ジュン「おい!どこだ!!!」

ふらふらになって上り坂を登ったジュンは、息をはずませて辺りを見回した。
そこで彼が見たのは、嬉しそうに樹を見上げるハナの姿でした。

ハナ「ダイヤモンドスノーよ!」
ジュン「?」

ジュンは光の方向を振り返ると同時に、カメラを構えていた。

降り注ぐ光に、樹がシルエットとなり、さらに明るく輝く。

「カシャ カシャ カシャ」

彼は無我夢中でシャッターを切った。
ひとしきり撮影すると、彼は方向を変え、もう一度ファインダーを覗く。
そこには、光を浴びて立っているハナの姿があった。

ファインダーから一度目を外し、彼女の姿を確かめたジュンは、
もう一度カメラを構えた。




#これみて「冬ソナ4話のスキー場下見だ」と瞬時に思った人は、私の心の友


シャッターを切る速度が徐々に上がっていく。

ハナ「?」

彼はふとレンズの向こうでこちらを見つめているハナに気づき、顔を上げた。

ジュン「・・・。」
ハナ「何してるんです?」
ジュン「お前のこと撮ってんじゃないから。どけよ。そっちのほうが綺麗なんだ」
ハナ「?」

咳払いをし、ジュンは違う方向へカメラを向ける。

そのレンズは、再び吸い寄せられるように彼女へと向かい…。
画面に収まった彼女の姿を眺めたジュンは、満足気に微笑んだ。

ジュン「光栄だと思えよ」
ハナ「?」
ジュン「俺と一緒に見たこと」

呆れた表情で睨む彼女に笑い返し、彼はまたシャッターを切り始める。

ハナ「・・・。」

いつしかハナも、カメラを構えるジュンの横顔が気になっていた。
なんとなくぎこちないながらも、二人は穏やかで幸せな時間に包まれていた。

+-+-+-+

日がずいぶん高くなっていた。

無事、車を置いた場所まで戻ってくると、ハナは元気いっぱいで声を上げた。

ハナ「はぁ、陽が昇ったら暖かくなったみたい」

さっさと車に乗り込む彼女の後ろから、今にも凍り死にそうな様子でヨタヨタとジュンが続く。
かろうじてドアを開け、運転席にすべりこんだ。

ジュン「・・・。」
ハナ「ホントに写真家なんですね。写真撮ってる時はちょっとかっこ良かったわ」
ジュン「・・・。」
ハナ「あ、怪我した腕は大丈夫ですか?ちょっと見せて」

そう言って振り返ったハナは、彼がガタガタと震えていることに気づいた。

ハナ「ど、ど、どうしたんですか?怖いわ」
ジュン「・・・・・・。」
ハナ「だ、大丈夫ですか?」
ジュン「・・・・・・・・・。」

走りだした車。
助手席で毛布にくるまって小さくなるジュンの隣で、ハンドルをハナが握っていた。

ハナ「まだ寒いですか?(温風の吹き出し口に手を当て)何で温かくならないの?」
ジュン「・・・・・・・・・・・・・。」
ハナ「熱もあります?」

ジュンの額に手を当てたハナは「きゃっ」と小さな悲鳴を上げ、その手を引っ込めた。

ハナ「熱いわ!」
ジュン「どこが熱いんだ。寒くてたまんない。近くに温かい場所ないのか?」
ハナ「暖かい場所?」

考えをめぐらせつつ車は走る。l
走りつつ…

グルグルグル

車は突然ヨロヨロとその場に停まった。

ジュン「何だ?」
ハナ「!」

ガソリンのマークが、目の前で赤く点滅していた。

ハナ「ガソリンがなくなったみたい!」
ジュン「何だって?!」
ハナ「あーどうしよう!昨日あんなに走りまわるからでしょう!部屋に帰ろうって言ったのに」
ジュン「電話貸せよ」
ハナ「!」
ジュン「早く!ここで凍死したいのか?」

彼女が差し出した携帯を受け取った彼は、震える手でボタンを押した。

ハナ「・・・。?!」

車の前方を何気なく眺めた彼女の目に、何かが飛び込んでくる。
「温泉」

彼女の顔がパッと輝いた。

+-+-+-+

ホテルのジュンの部屋。

ソファの上で眠りこけていた助手は、電話の音に目を覚ました。
空っぽの部屋をぼんやりと眺めてみる。

助手「まだ帰ってないんだな。携帯も持たずに」

彼は鳴り続けるジュンの携帯を拾い上げた。
発信者。父。

助手は慌てて電話を取る。

助手「こんにちは、教授!」

+-+-+-+

あるホテルの1室。
窓辺に男性が立っていた。

男性(電話)「いや、大したことじゃないんです。ジュンが撮影で来てると聞いてね。私も北海道にいるんですよ。いや、いいんです。電話があったと、それだけ伝えてください」



男性は電話を切り、窓の向こうをじっと見つめた。

+-+-+-+

助手はいよいよ途方に暮れていた。
帰って来ない。連絡もない。仕事の目処も立たない。
今日何とかしないと自分も危ないのだ。

助手「まだ帰って来ないなんて一晩中どこを遊び回ってんだ?部屋も散らかしたまま。・・・。ひょっとして、ホントに幽霊に連れて行かれたのか?」

ぶるっと震えると同時にもう一度電話が鳴った。

助手(電話)「もしもし。室長!!!一体どこにいらっしゃるんですか?」

+-+-+-+

ジュンはハナの後について温泉へやって来た。

ジュン「何だよ?主人もいないなんて、ホントに温泉なのか?入ってもいいのか?」
ハナ「無料温泉だからいいんです」
ジュン「・・・。」
ハナ「寒いんでしょう?」
ジュン「このまま入れって?」
ハナ「脱いで入ればいいでしょ」
ジュン「どこで?」
ハナ「まぁ、そのへんの好きなところで」
ジュン「ならお前が入れ」
ハナ「何ですって?(慌てて襟元を閉じ)何考えてるのよ」
ジュン「見せるものもないくせに」

ジュンは彼女に先に立ち、ヨロヨロと湯気のたつ温泉の方へと下りていった。

湯の脇にある板場にたどり着く。
「ここで脱げばいいわ」というハナを今度は追い払うジュン。

ハナ「じゃ、携帯返してくださいよ。ほら」
ジュン「脱げよ、じゃあ」
ハナ「何で?!」
ジュン「もういい。(かぶっていた毛布を渡し)持ってろ」

…と、今度は毛布で目隠しの幕を作らせる。

ハナ「誰も見ないって!」
ジュン「(脱ぎ脱ぎ)」
ハナ「見せるものもないくせに」
ジュン「あるぞ」
ハナ「ホント?」

ハナは思わず広げた毛布の向こうを覗き込んだ。
睨みつけるジュンに、再び毛布の裏へと顔を隠す。


+-+-+-+

ジュンはTシャツ姿で温かいお湯に浸かっていた。

近くの岩の上にハナが腰を下ろし、足を浸す。

ハナ「電話したのにどうしてまだ来ないんですか?」
ジュン「すぐ来るさ」
ハナ「・・・。」
ジュン「こういう場所どうやって見つけたんだ?」
ハナ「前にこの近くに実習に来たんです。また見つけられるか自信なかったんだけど」
ジュン「実習?専門は?」
ハナ「ガーデニングです」
ジュン「ガーデニング。造園師か」
ハナ「まぁ、似たようなものね。この辺りには野生の花がすごく多いんですよ」

ジュンは温泉からの雪景色を眺めた。

ジュン「車からカメラ取ってきてくれ」
ハナ「何で命令ばかり?」

ジュンは鼻先で湯の向こうを指した。
そこには、岩の上にポツンと置かれたハナの携帯電話。

ハナ「・・・。」

ハナは仕方なく立ち上がった。

+-+-+-+

ジュンが湯に浸かったまま、カメラを構え、シャッターを切る。
夢中になっている彼の後ろで、ハナはまたため息をついていた。

ハナ「・・・。」

彼の背中と、向こうにある携帯をひそかに見つめた彼女は、そっと動き始めた。

ゆっくり
ゆっくり…

携帯に近づき、手を伸ばす。

そのとき!

ふいに振り返ったジュンと目が合った彼女は、二人揃ってバランスを失い、お湯の中に威勢よく嵌った。

ボチャーン!

ハナ「はっ!私の携帯!携帯は?!」

THE  END

お湯の底から救出された携帯は、すでに息絶えていた。

ハナ「あーーー!どうしようーーー!!!今日連絡が入るのに!!!」
ジュン「・・・。ごめん」
ハナ「どう゛じよ゛う゛ーーーー!!!」
ジュン「・・・。」

+-+-+-+

男性はホテルの部屋でインタビューを受けていた。

日本人記者「イナさんは韓国でお生まれになってフランスで活躍されていますが、韓国とフランスでは…」

インタビューを終え、男性、ソ・イナは立ち上がり日本語で礼を述べた。

記者たちが退室すると、スタッフが声を掛けた。

スタッフ「Mr.ソ」
イナ「?」
スタッフ「教授にぜひお会いしたいという韓国の留学生がいるんですが、午後はお時間いかがでしょうか?」
イナ「OK。構いませんよ」

+-+-+-+

お湯の中で並んだ二人。

諦めきれないハナはまだ携帯に染み込んだお湯を出そうとしていた。

ジュン「一体誰と会うためにそんな必死になってんだ?」
ハナ「(ジロリ)」
ジュン「・・・。言いたくなけりゃ好きにしろ」

ハナはとうとう携帯を岩の上に置き、下を向いた。

ジュン「お前、怖くないのか」
ハナ「何が?」
ジュン「俺」
ハナ「え?」
ジュン「たったの3秒で落とすって言ってんだろ」
ハナ「信じてもないですから」
ジュン「ホントなんだけどな」

ジュンは彼女の方にするっとにじり寄る。

ジュン「俺は愛なんて信じちゃいない」
ハナ「・・・。」
ジュン「父さんは初恋が忘れられずにずっと苦しんでた。母さんも不幸だったし。だから俺、そういう恋はしたくないと思ってた。けど…」

#よし、今だ。みんな分かってるよ、ジュン(ぷぷっ

ジュン「・・・。」
ハナ「・・・。」


二人の視線が絡み合った。

ジュン「お前に出会って…初めてこんな気分になったんだ」
ハナ「・・・。」

#もう その音楽やめれ

彼の視線は、もう彼女を捉えて離さない。

ジュン「1秒」
ハナ「・・・。」
ジュン「2秒」
ハナ「・・・。」
ジュン「3秒」
ハナ「・・・・・・・・・(キョトーン)」
ジュン「?」

GAME OVER

撃沈した彼は背を向けて悶えた。

ハナ「?」
ジュン「お前、ホントに女か?」
ハナ「今の何ですか?」
ジュン「(解説!)ここで一番重要なのはな、初めてこんな気分になったってとこだ。普通、俺みたいな男が”こんな気分初めてだ!”って言ったら、ほとんどの女は傾くのに」
ハナ「?」
ジュン「女ってのは何で”初めて”ってやつにこう夢中になるんだ?ん?」

#戦闘不能になった上に、自らの墓穴を掘る勇者ソ・ジュンに祈りを

ハナは答える代わりに、今度は自ら彼に近づいた。

ジュン「?」
ハナ「私のお母さんはね、生涯初恋を忘れられなかったんです。でも、その思い出のおかげでずっと幸せだったって。私もそんな恋がしたい」
ジュン「・・・・・・。」

#はい、いっちょ出来上がり(ぷぷっ

彼女は彼を振り返った。

ハナ「1秒」
ジュン「・・・。」
ハナ「2秒」
ジュン「・・・。」
ハナ「3秒」
ジュン「(ゴクリ)」
ハナ「…こんなふうに?」
ジュン「・・・・・・・・・・。」



ジュンは彼女の顔から目を離すことが出来なかった。
まるで魂を奪われたように。

ハナ「どうしたの?こうやるんじゃないんですか?」
ジュン「・・・。」

一瞬の戸惑いを見せた彼は、小さな水の音を立て、彼女を抱き寄せた。



ハナ「な、何するんですか?!」
ジュン「少しだけ」
ハナ「!」
ジュン「少しだけでいい」
ハナ「な、何よ。頭おかしくなったんですか?」

思わず突き放すハナから、それでも彼はじっと目を離すことが出来ずにいた。

ジュン「こんな気分…初めてだ」
ハナ「?」
ジュン「・・・。(ふと我に返り)その一言が抜けてたろ」
ハナ「・・・。」

それでも自分をまっすぐ見つめるハナに、ジュンは吸い寄せられるように顔を近づけた。

ジュン「・・・。」
ハナ「・・・。」

+-+-+-+

ここでエンディングです。

とにかく、意外にも初登場にして分かったことは、親子揃って鈍くさいということだ。
頑張れ、ジュン♪

24 件のコメント:

  1. 後半のUP、早くにありがとうございます^^

    毎回、言葉もわからず、映像を必至で見て、
    ujinaさんの翻訳を後日読みながら、昨日見た
    映像を思い出しては、一人、そうそう。あの
    場面、そんな表情してたわ・・・なんて、納得
    しては、大満足させてもらっています。

    6話、楽しみにしていますね❤^^❤

    返信削除
  2. またもや早速のアップをありがとうございました♪
    お身体、ちゃんと休ませてくださいね♪
    楽しく拝見させて頂きました!
    感謝☆

    返信削除
  3. ユジナ~さん、5話訳ありがとうございます( ´ ▽ ` )ノ
    本編見ながらかなり爆笑してましたが、訳を読むと更に面白い(笑)
    준の不器用さがたまらなく愛おしいです♡

    이런 기분 차음에요. の言い方ひとつでわざとなのか不意の本心なのかが伝わる장배우の演技力にも改めて脱帽です。

    6話の訳も楽しみにしています( *´艸`)
    無理せず楽しんで訳してくださいね☆

    返信削除
  4. びぃちゃん2012年4月11日 6:05

    Yujina様
    毎回美しい日本語訳&解説ありがとうございます!(^0^)/~
    今の私には、月火はもちろん!水まで!
    楽しみな曜日になりました!
     
    ソ・ジュン見たさに『愛の雨』を見始めた私…、
    今ではイナとユニにすっかりドップリはまり、
    yujinaさんの日本語訳と自分の想像とがかみ合うと
    嬉しい火・水曜日!!        でしたが…
     
    現代版!予測不可能!ソ・ジュンの言動!
    私の想像能力ではほとんど読めない!
    やっぱり!私は古い人間なんだ!…
    と、思い知った今週の放送でした!
    もう、yujinaさんの日本語訳&解説なしには
    『愛の雨』ついていけそうにありません!
    これからも!今まで以上によろしくお願いします!

    返信削除
  5. ありがとうございます。今日も仕事から帰ってきてすぐにパソコン開いちゃいました。
    ジュンの鈍いとことかハナの可愛さとかつたわってきますよ~^^
    本当に感謝です。言葉もふえて大変だと思います。
    即UPほんとにありがとうございました。また楽しみにしています。

    返信削除
  6. ジュンの方が先に落ちちゃったんですね~どっぷりと。
    親子そろって鈍くさい…ホント!!そこがいいんですけど♪
    yujinaさんの一言も、楽しみに読ませていただいてます!
    ありがとうございました\(^o^)/

    返信削除
  7. アンニョ〜ン(^o^)
    第五話の現代になると、聞き取れない言葉が増えてきました(^^;;
    特に、なぞなぞの意味は、全くわかりませんでした・・
    ただ役者の表情や話し方から、想像するだけ(~_~;)
    翌日にyujinaさんの翻訳を読んで、スッキリとした朝を迎えられます♪(´ε` )

    返信削除
  8. あーちゃん2012年4月11日 8:52

    yujinaさん (*^O^*)おはようございます
    現代版になったら早口な会話でリアル視聴ではさっぱり分からずです yujinaさんの翻訳でラブレインが二度楽しめて1週間があっという間です

    冬ソナのシーン
    ユジンがミニョンを思わず撮ってしまうシーンですよね
    逆バージョンですね

    6話も楽しみにしています

    返信削除
  9. いつも翻訳有難うございますm(_ _)m
    リアル視聴では、細かいニュアンスがわからず、翻訳を読ませて頂いて、やっとスッキリです。
    一人でニヤニヤ(笑)
    時折入る、yujinaさんのコメントが壺です!
    月火連続で、特に月曜日の夜は大変でしょうが、頑張って下さい p(^_^)q

    返信削除
  10. #もう、その音楽やめれ・・・yujinaさんのつぶやきに抱腹爆笑(*^.^*)

    早い翻訳をどうもありがとうございます!
    画像と訳を並べて字幕のようにして鑑賞させてもらってます。

    現代版のグンちゃん、やっぱカッコイイ~♡♡
    これからもよろしくお願いします。

    返信削除
  11. yujinaさん
    ありがとうございます!
    PCで映像、スマホで訳みながら楽しませてもらいました!
    yujinaさんのコメ私もツボですヾ(*´∀`*)ノキャッキャ

    返信削除
  12. 身もだえしながら見ました(笑.
    久々,きゅんきゅんします~

    どんくさいジュン,素敵すぎ!!

    いつもありがとうございます!! 本当に楽しみにしてます♪

    返信削除
  13. ありがとうございます♪!(^^)!

    「勇者ソ・ジュンに祈りを」~~~ふふふ♪
    緑コメントが楽しみで♪
    yujinaさんの翻訳を読むのが、とてもとても楽しみです(^O^)
    憂鬱な週はじめが、楽しみな週はじめになりました(~o~)
    落とすつもりが~落とされて~~~
    勇者ソ・ジュン!ファイティン!(^з^)-☆

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  14. yujina様
    こんにちは!
    早急な翻訳をありがとうございます☆彡
    いつも楽しみに拝見させていただいています。
    こんなに早いアップで、本当にありがたいですが
    貴重なお時間を割いておられると思うので
    お身体お大事になさってくださいね。

    所々のツッコミ、ドラマでは見られないものですし
    私的に、とってもツボで、いつもクスッと笑わせて頂いています。

    次回のアップも楽しみにしていますが、
    どうぞマイペースでなさってくださいね。
    気長にお待ちしてますから♥

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  15. ありがとうございます。
    いつも楽しく読ませていただいています。

    「冬ソナ」4話でファインダーを覗くのは、
    ユジナ~のほうでしたね。
    私の心の友・・・嬉しいです!

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  16. いつもお忙しいのにありがとうございます。
    今回はなぞなぞの部分と最後のところが何を言っているのか気になってしょうがありませんでした。
    ジュン、これからどうなっていくのか、お話の先も、もちろんですが興味深々です。
    最後までついて行けるかちょっと、不安でもありますが・・・

    これからもよろしくお願いします。楽しみにお待ちしております♡

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  17. いつもありがとうございます。言葉もわからず・・・見てるだけ・・・悲しい
    そして・・・ここの翻訳を読ませていただいて・・・思い返します。
    冬ソナ・・・懐かしい・・・韓ドラにはまったのが・・・冬ソナからなので
     次も楽しみです。よろしくお願いします。

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  18. yujina様

    はじめまして。毎回とても楽しみにしています。ありがとうございます。
    コメントするのがはずかしい性質なので、いままで控えていましたが、冬ソナ スキー場下見のyujinaさんのコメに「そうそう♪」と思わずうなづいてしまい、嬉しくなってしまいました。男女逆ですが、ユジンがミニョンを隠し撮りしていましたよね(^ ^)
    急にテンポが早くなって、翻訳するのも大変だと思います。でも心待ちにしていますので(プレッシャー?)、無理せずよろしくお願いいたします。

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  19. ユジナさん、いつも訳ありがとうございます(^-^)/
    4話までの読んでいて、せつなくなる感情は何処へやら?5話から、可笑しくて楽しいジュンが愛しいです♥

    私、ユジナさんの心の友ですよ‼
    ユジンが、ミニヨンさんを撮らずにいられなかったシーン大好きです♥

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  20. 昨日、動画を見て やっぱり言葉がわからないのは、疲れた。でも、あらすじを書いていただき
    よくわかったわ!ありがとう。

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  21. ありがとうございます(^.^)
    どんくさい に やられました(笑)

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  22. yujinaさん、おはようございます♪
    今週は時間がなくて、やっと5話を見る事が出来、ようやくここにも来れました。

    イナをもっと見ていたかったけれど、ジュンもダサくて可愛いですね(^-^)
    勘違い野郎的な所が笑えます。

    勿論、冬ソナのスキー場の下見も思い出しました!ファインダーって、知らぬ間に心惹かれる人を追っちゃうのかな?

    早く6話も見なきゃ…
    いつもありがとうございます♪

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  23. こんにちは。
    落とすかわりに自分が落ちてしまうあのジュンの表情(≧▽≦) いろんな表情を見せてくれるジュンから目が離せません。
    訳ありがとうごさいました(^_^)ノ

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  24. ありがとうございました(^o^)/なんかわくわくしてきました♪♪実はジュンはシャイで恋したことなかったのかもですね♪格好良すぎてだまってても女性がよって来ていたでしょうから。きっとハナにされるまであんなシチュエーションなかったんでしょうね(^-^)
    毎回思いますが、yujina さんの丁寧でキレ イな翻訳のおかげで妄想も膨らんできます~引き続き6話を読ませて頂いて今晩の試聴に望みたいとおもいます♪♪

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